地区計画
■地区計画とは?
- ●住民によるまちづくりルールの提案をもとに、市が都市計画として決定する制度です。
- ●建築物の用途、敷地面積の最低限度、壁面位置や建物高さなどの制限が条例で定められます。
- ●区域内で建築・工作物の着手前には、30日前までに市へ届出が必要です。
■地区計画の主な規制例
- ●御園二丁目地区
低層住宅主体の居住地域を対象とした地区計画です。
- 敷地面積の最低限度:90㎡
- 壁面の後退:境界線から0.5m以上
- 建築物の最高高さ:A地区10m以下/B地区12m以下
- 色彩についても景観配慮の指針があります。
- ●橋本駅南口地区
再開発区域として、商業・業務と住宅の高度利用を目指し、歩道状空地の整備や用途用途・意匠の制限があります。 - ●相模台通り地区
座間市と相模原市の境界近くにあり、商業集積の形成を目的とした規制を定めています。
※相模原市は、東林間駅前地区、田名塩田原地区、緑が丘地区、橋本駅南口地区、大野台3丁目地区、 橋本6丁目地区、相模台通り地区、古淵駅周辺地区、原当麻駅東口地区、南台4丁目地区、しおだ地区、リバティ大通り地区、氷川通り地区、橋本都市拠点地区、田名久所地区、 橋本3丁目地区、桜台地区などがあります。
私道使用承諾書
「私道掘削制限の緩和」とは、私道の下にライフライン(上下水道・ガス・電気など)を通すための工事を、一定の条件下で許可・緩和する措置のことです。
本来、私道は「私人の所有地」なので、勝手に掘削(=地面を掘ること)することはできません。
■ 私道掘削とは?
私道(私有地)に配管などを埋設したり、交換・修理するために地面を掘る行為のことです。
▲通常の私道掘削の制限
▲所有者の承諾が必要
掘削するには私道の所有者全員の書面による同意(私道承諾書)が原則必要
▲同意が得られないと工事できない
一人でも拒否する人がいれば、ライフラインの整備ができず、建築や居住に大きな支障が。
■掘削制限の緩和措置とは?
所有者の同意が得られない場合でも、公共の福祉やライフライン確保のために、一定条件で掘削を認める制度があります。
代表的な制度・方針
▲自治体による行政指導
「どうしても必要な工事」であると判断された場合、自治体が調整・指導を行うことがあります
▲都道府県・市区町村の条例・ガイドライン
一部自治体では、特定の要件を満たす場合に、私道掘削を認める規定を設けています
▲公共性の高い工事の場合
上下水道など、公益性の高いインフラ整備は、特例的に掘削が許可される場合があります
■ 緩和が認められるケースの一例
- 周辺の住民が最低限の生活インフラを必要としている
- 私道の使用が「不可避」で、他に代替手段がない
- 掘削部分の復旧が保証されている
- 掘削工事による私道の機能低下がないことが確認されている
■ 手続きの流れ(一般例)
- 掘削の目的・範囲を明示した計画書を作成
- 私道所有者への同意取得(できる範囲で)
- 自治体(市区町村)の道路管理課や建築指導課に相談
- 必要に応じて「特例承認」または「公共工事としての執行申請」へ進む
■ 注意点
- 緩和はあくまで例外措置で、自治体の判断に強く依存します。
- 私道の所有者が反対している場合は、裁判や調停に発展する可能性も。
- 掘削後の原状回復(舗装など)や近隣対応も大切です。
■ まとめ
「私道掘削制限の緩和」は、公私のバランスをとりながら、地域生活のインフラ整備を現実的に進めるための手段です。ただし、すべてのケースで認められるわけではないため、事前に自治体への相談・調整が不可欠です。
必要であればあなたの自治体におけるガイドラインを調べたり、相談窓口をご案内することもできます。
参考資料:
- 東京都都市整備局 私道掘削に関する対応
- 各市区町村「私道掘削ガイドライン」等
市街化調整区域「既存宅地」
■ 市街化調整区域の既存宅地とは?
「市街化調整区域」とは、都市計画法によって定められた地域で、市街化を抑制し、計画的に緑地、森林、海岸などを保全すると共に農林水産における業務に支障を及ぼさないよう多様な建設を抑制するエリアのことです。
原則として、新たな建物の建築は厳しく制限されています。
しかし、建物の建築が許されるケースがあり、その代表が「既存宅地」です。
■ 既存宅地の定義とポイント
以下のような条件を満たす土地が「既存宅地」と認められる可能性があります。
- 昭和45年以前(都市計画法の施行以前)から宅地として使用されていた土地
- 過去に住宅が建っていたが、現在は空き地になっている土地
- 周囲に住宅が立ち並んでおり、地域的に一体性があると認められる場所
建蔽率容積率
建ぺい率(けんぺいりつ)と容積率(ようせきりつ)は、土地にどれだけ建物を建てられるかを定める重要な指標で、都市計画法および建築基準法によって規定されています
■ 建ぺい率(けんぺいりつ)
■ 定義
「敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合」のこと
■ 計算式
建ぺい率(%)=(建築面積 ÷ 敷地面積)× 100
■ 例
敷地面積が100㎡、建築面積が50㎡なら、建ぺい率は50%
■容積率(ようせきりつ)
■定義
「敷地面積に対する延べ床面積(各階の合計床面積)の割合」のこと。
■ 計算式
容積率(%)=(延べ床面積 ÷ 敷地面積)× 100
■ 例
敷地面積が100㎡、延べ床面積が150㎡なら、容積率は150%
■ 規制内容は用途地域ごとに異なる
第一種低層住居専用地域 建ぺい率50% 容積率100%または200%
商業地域 建ぺい率80% 容積率400%または500%
工業地域 建ぺい率60% 容積率200%または300%
※角地や防火地域の条件によって緩和される場合あり。
■土地を買う前、家を建てる前には、必ず都市計画図や役所の確認が必要です。
2025年リフォーム工事補助金申請について
リフォーム工事に関する補助金制度について、国や神奈川県、横浜市が提供する主な制度を以下にまとめました。詳細は各制度の公式サイトをご確認ください。
■ 国の主な補助金制度(2025年度)
1. 子育てグリーン住宅支援事業
- 対象工事:開口部の断熱改修、躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置、子育て対応改修、防災性向上改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置、リフォーム瑕疵保険等への加入
- 補助額:工事内容に応じて5万円~最大60万円/戸
- 申請期間:2024年11月22日以降に着手した工事が対象。予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
- 備考:登録事業者が申請手続きを代行
2. 先進的窓リノベ2025事業
3. 給湯省エネ2025事業
- 対象工事:高効率給湯器の設置(エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームなど)
- 補助額:導入機器に応じて6万円~20万円
- 申請期間:2024年11月22日以降に着手した工事が対象
- ■神奈川県の補助金制度
神奈川県既存住宅省エネ改修事業費補助金(令和7年度)
- 対象工事:既存住宅の窓、壁、天井、床の断熱改修
- 補助額:補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額を上限
- 申請期間:令和7年4月25日(金)から令和7年12月26日(金)まで
- 備考:交付決定前に事業に着手した場合は補助金の交付対象外
■ 横浜市の補助金制度
1. 省エネ住宅住替え補助制度(リノベ型)
- 対象:窓など全ての開口部が断熱改修(ZEHレベル以上)されており、新耐震基準に適合している住宅への住替え
- 補助額:基礎額70万円、市外からの転入で30万円加算、再エネ設備導入で50万円加算
- 2. 固定資産税・都市計画税の減額制度
- 対象工事:窓改修工事、床・天井・壁断熱工事、太陽熱利用冷温熱装置、潜熱回収型給湯器、ヒートポンプ式給湯器、燃料電池コージェネレーションシステム、エアコンディショナー、太陽光発電設備の取替え・取付
- 減額内容:120㎡以下の場合、1/3減額(長期優良住宅の場合2/3減額)
■補助金制度の検索方法
地方公共団体が実施する住宅リフォーム支援制度を検索できるサイトがあります。お住まいの市区町村の補助金制度を確認する際にご活用ください
- 住宅リフォーム支援制度検索サイト
リフォーム工事の補助金制度は多岐にわたり、条件や申請方法も異なります。詳細な情報や申請手続きについては、各制度の公式サイトやお住まいの自治体の窓口にお問い合わせください
新耐震基準
「新耐震基準」とは、日本で1981年(昭和56年)6月に施行された建築基準法改正によって導入された耐震設計の基準です。この基準は、建物が震度6強〜7程度の大地震でも「倒壊・崩壊しない」ことを目指しています
■背景と特徴
- 旧耐震基準(1971年以前)
→ 「震度5程度の地震で損傷しないこと」が目安
→ 大地震時の倒壊リスクが高い - 新耐震基準(1981年以降)
→ 「震度6強〜7でも倒壊しない」ことが基本方針
→ 構造体の設計に鉄筋や壁量の強化が盛り込まれた
■築年数での判断目安
1981年6月以前 旧耐震基準
1981年6月以降 新耐震基準(重要)
2000年以降 より厳格な改訂あり
■注意点
- 新耐震基準以前の建物でも耐震改修工事で補強が可能です。
- マンションや戸建ての購入時は「竣工日」や「検査済証」の確認が大切です
建築計画概要書と記載事項証明書
■建築計画概要書(けんちくけいかくがいようしょ)
概要:
建築確認申請時に提出された建物の計画内容が記載された書類です。建築主事(または指定確認検査機関)が確認した計画内容が記載されています。
主な記載内容:
- 建物の所在地・用途・構造・規模(階数・延床面積など)
- 建築主や設計者の名前
- 建築確認番号、確認日
- 防火地域や用途地域などの法的制限情報
用途:
- 不動産購入時の物件調査
- リフォーム・建て替えの際の法的確認資料として利用
■記載事項証明書(きさいじこうしょうめいしょ)
正しい取得先:
➡ 市区町村の建築指導課など(※地域により名称は異なる場合あり)
概要:
建築基準法に基づき、確認済証や検査済証の内容などを証明する書類です。建築確認の記録に基づいて交付されます。
主な記載内容:
- 建築主・設計者・工事施工者
- 建物の構造・階数・延床面積
- 建築確認済証の番号・発行日
- 建築地の用途地域や制限
用途:
- 不動産売買や建築計画の説明資料
- 建て替え・リフォームの参考
- 建築物の法的情報確認に利用
■記載事項証明書が作られた理由
✅ 1. 法的効力を持つ「証明書」としての必要性
- 建築計画概要書は「単なる写し」や「参考情報」であり、法的な証明力は限定的です。
- 一方、「記載事項証明書」は行政が発行する正式な「証明書」として、法律・行政手続きで使えるように設計されています。
✅ 2. 不動産取引や金融機関とのやり取りでの利用
- 売買契約やローン申請など、正式な証明書が求められる場面では、建築計画概要書では不十分です。
- そのため、建築確認の事実を公的に「証明」する書類として、記載事項証明書が必要になります。
✅ 3. トラブル防止の観点
- 建物の構造や面積、確認番号などを公的に証明することで、不動産取引におけるトラブル(虚偽申告・誤解)を防ぐことができます。
■ 結論:目的に応じた「使い分け」が大切
建築計画概要書 情報確認・参考資料として活用 △ 参考レベル
記載事項証明書 行政・金融手続きでの正式書類提 ◎ 公式証明書
景観法
景観法(けいかんほう)とは?
景観法は、地域の美しい景観や歴史的な町並みを守るために、建物や開発行為のルールを定める法律です。2004年に施行され、日本全国の市町村がそれぞれの景観に応じたルールを定めることができます
◆主な目的
- 地域の特性を生かした美しい景観の形成
- 住民が誇りを持てるまちづくり
- 観光資源としての景観の保護と活用
- 無秩序な開発の抑制
◆どのような内容?
地方自治体は「景観計画」を策定し、その中で以下のような規制が設けられます
建物の高さ 高さ10m以下に制限など
建物の色や外観 派手な色は禁止、和風に統一など
広告物の設置 看板の大きさや位置を制限
屋根の形や材 瓦屋根を推奨など
◆適用例
- 京都市:町家の外観保全、屋外広告の制限など
- 鎌倉市:歴史的建造物の周辺での建築制限
- 富良野市:北海道の自然景観に配慮した開発規制
違反したら?
景観法に基づく命令に違反すると、是正命令や罰則(罰金など)が科される場合があります
◆まとめ
景観法は、単なる「見た目」の問題ではなく、文化や地域のアイデンティティを守るための重要な法律です。不動産や建築に関わる場合、景観法の確認は非常に重要です。
特定都市河川浸水被害対策法
◆特定都市河川浸水被害対策法(とくていとしかせんしんすいひがいたいさくほう)
目的は?
都市部での集中豪雨や台風による浸水被害を防ぐため、特定の河川流域において総合的な水害対策を推進することを目的とした法律です。平成16年(2004年)に制定されました。
◆なぜ必要なの?
都市部はアスファルトやコンクリートで覆われているため、雨水が地中に浸透せず短時間で河川に流れ込みます。その結果、都市型水害(急激な浸水)が発生しやすくなります。
この法律は、それに対応するために制定されました。
◆主な内容
特定都市河川の指定 浸水被害が特に深刻な河川を国土交通大臣が指定
浸水被害対策基本方針 河川ごとに国が方針を策定(流域の治水を統合的に管理)
雨水貯留施設の設置 建築物に貯水タンクの設置を義務づける場合も
流域対策 流域全体で開発行為を規制(宅地開発など)
自治体・民間の連携 都市計画と連動した防災体制の強化
◆対象地域の例
- 東京都:神田川・目黒川など
- 大阪府:大和川流域
- 名古屋市:天白川流域 など
◆まとめ
この法律は、単なる河川工事だけでなく、流域全体の開発や建築物の設計も含めて水害対策を行うのが特徴です。近年の気候変動によるゲリラ豪雨対策としても、ますます重要性が高まっています。
隣地とのブロック塀(境界塀)の高さ制限
建築に関する隣地とのブロック塀(境界塀)の高さ制限は、安全性・防火・採光・通風など多くの要素に関係する重要な事項です。
隣地境界ブロック塀の高さ制限:基本ポイント
■ 建築基準法に基づく制限
- ブロック塀が「工作物」に該当する場合、高さ2.2m以下が原則です。
- 高さが2.2mを超える場合は「構造計算」や「控え壁の設置」が義務になります。
■高さ1.2m超のブロック塀には
- 控え壁(横方向の補強壁)を設ける必要があります。
控え壁の条件例(自治体により異なる):- 間隔:3.4m以内
- 長さ:塀の方向に垂直で30cm以上
自治体による条例やガイドラインも重要
自治体独自の安全基準が追加されている場合もあります。例えば:
- 京都市:文化的景観保護のため、高さ制限がさらに厳しい。
- 東京23区:住宅密集地ではブロック塀の使用自体を制限する例も。
■隣地との関係性(民法的視点)
- 民法第234条により、境界線から50㎝未満の場所に建築物を建てる場合は、隣人の同意が必要なケースがあります。
- ブロック塀が隣地の採光・通風を不当に妨げる場合は、民事トラブルになる可能性も。
まとめ:守るべき基準
法的高さ上限 原則2.2m以下
補強義務 1.2m超は控え壁など構造的補強が必要
材質規定 中空ブロックなどは使用制限あり
自治体規制 高さ・デザイン制限の条例あり
民法との関係 採光・通風・境界権侵害に配慮
◆トラブル防止のため、施工前に自治体に確認することが非常に重要です。