敷地高低差
「敷地の高低差」とは、土地の中での高さの違いや、隣地や道路との間にある高低差のことを指します。一見平坦に見える土地でも、実際には数十センチ~数メートルの差があることは珍しくありません。以下の点が特に重要です
■ 敷地の高低差があるときの主な注意点
① 基礎工事の影響
- 高低差があると、ベタ基礎・布基礎のどちらにしても、土留めや段差を吸収する構造が必要になります。
- 地面を削る(掘削)・盛る(盛土)作業が発生し、土工費が高額になる傾向があります。
- 極端な高低差では、擁壁(ようへき)と呼ばれるコンクリートの壁を設ける必要があり、これが数十万円〜数百万円の費用になることもあります。
② 外構工事(階段・スロープ・塀など)
- 玄関までの階段、スロープ、カースペースの勾配などを設計する必要があります。
- 車庫をつくる場合、道路より敷地が高いとコンクリートのスロープを設ける必要があり、これにも費用がかかります。敷地が低いと雨水の逆流防止なども検討しなければなりません。
③ 造成工事の必要性
- 高低差が大きい土地では、宅地として使うために造成工事(地盤整備)が必須になります。
- 特に古家付きの土地などでは、解体後に地形が明らかになることもあり、後から想定外の費用が発生するリスクもあります。
④ 近隣や道路との関係
- 隣地より高い場合:擁壁の安全性、越境、排水トラブルなどに注意が必要です。
- 道路より高い/低い:出入りのしやすさ(バリアフリー性)、見通しの悪さ、安全性にも関わります。
■ 敷地の高低差を確認する方法
現地確認 メジャーや水準器で簡易的に段差を測ることができます
高低差測量図(GL図) 販売図面や測量図に「±0」や「GL(グランドライン)」で記載されます
Google Earth 簡易的な標高確認が可能(ただし誤差あり)
地盤調査報告書 地盤と共に高低差も把握できる場合があります
連帯保証人
賃貸契約に関する保証制度、特に連帯保証人制度の見直しについて、説明します。
1. 連帯保証人とは?
連帯保証人は、借主が賃料を支払わなかったり契約違反をした場合、借主と同じ責任を負う人です。債権者(この場合オーナーや管理会社)は、借主に請求せず直接連帯保証人に請求できるほど、責任が重い立場にあります。
2. 制度の見直し(民法改正)について
2020年4月1日に施行された改正民法により、個人が連帯保証人になる場合、次のような制限が加わりました。
■ 極度額の設定が義務化
- 個人が連帯保証人になる場合、「極度額」(保証の限度額)を契約書に明記しなければ、その保証契約は無効になります。
- これにより、連帯保証人は無制限な責任を負わされるリスクが軽減されました。
3. 極度額とは?
- 例えば、「極度額300万円」と明記されていれば、借主がいくら滞納しても、連帯保証人に請求できるのは最大300万円までです。
- 家賃が月10万円であれば、30か月分(=2年半)までの滞納分が限度、というイメージです。
4. 滞納が何か月で連帯保証人に通知されるか?
これは契約内容や管理会社の運用によります。一般的には:
- 1~2か月滞納時点で借主・連帯保証人に連絡が行くケースが多いです。
- 連帯保証人への通知義務は法律で明記されているわけではありませんが、適切なタイミングで通知することが求められています。
5. 2か月以上の支払義務違反と契約解除
- 契約書に「2か月以上賃料を滞納した場合、契約解除できる」とあれば、貸主はその時点で契約解除できます。
- しかし、貸主が何か月も滞納状態を放置した場合でも、連帯保証人に極度額までの請求はできます。
6. 空き家状態が続いていた場合は?
- 借主が退去せず、長期間家賃を滞納し続け、かつオーナーが対応しなかった場合でも、連帯保証人には極度額までの責任が生じる可能性があります。
- ただし、貸主の「損害拡大回避義務」に反する場合は、保証人の責任が軽減される可能性もあります。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
連帯保証人の責任 | 借主と同等。ただし極度額の範囲内。 |
極度額 | 契約時に必ず明記。上限のこと。 |
通知時期 | 多くは1~2か月の滞納で通知。 |
空き家が続いた場合 | 責任はあるが、貸主の対応状況によって減免可能性あり。 |
さまざまな種類の保険
保険にはさまざまな種類があり、それぞれが特定のリスクに備えるための仕組みです。日本で一般的な保険の種類を簡単に説明します:
✅生命保険(せいめいほけん)
万が一の死亡や高度障害時に保険金が支払われ、遺族の生活を支える保険です。
- 定期保険:保険期間が決まっている(安価)
- 終身保険:一生涯保障される(貯蓄性あり)
- 収入保障保険:毎月一定額が支払われるタイプ
✅医療保険・がん保険
病気やけがによる入院・手術に対する給付金が支払われます。
- 医療保険:一般的な入院や手術に対応
- がん保険:がんと診断されたときの治療費用をカバー
✅ 自動車保険(じどうしゃほけん)
自動車事故に備える保険で、加入が義務づけられている「自賠責保険」と、任意で加入する「任意保険」があります。
- 対人・対物賠償
- 車両保険
- 人身傷害補償など
✅ 火災保険・地震保険
自宅が火事や自然災害で被害を受けた場合に補償されます。
- 火災保険:火災・風災・水漏れなど
- 地震保険:地震・津波による損害(火災保険とセットで契約)
✅ 介護保険(かいごほけん)
公的保険制度の一部で、40歳以上が加入対象。要介護になった際に介護サービスを受けるための支援です。
ご自身のライフステージや目的に応じて、適切な保険を選ぶことが大切です。
残置物清掃
■ 残置物(ざんちぶつ)
前の住人や所有者が置いていった家具・家電・ゴミ・私物など、契約上は撤去すべきなのにそのまま残っている物のことを言います。
例:
-
ソファ、冷蔵庫、洗濯機
-
食器、衣類、本、日用品
-
ゴミ、不要な雑貨など
■ 清掃代・処分費用は誰が払うの?
● 原則として…
売買の場合 通常は売主負担(引き渡し時に空にして渡すのが一般的)
賃貸で退去時 通常は借主(退去者)負担
特別な契約がある場合 契約書に従う(例:「現状有姿で引き渡し」など)
■ 清掃代の相場
内容や量によりますが、目安として:
-
軽微な清掃:数千円~1万円程度
-
家具やゴミの撤去含む本格的な片付け:3万円~10万円程度
-
大量のゴミ屋敷や遺品整理レベル:10万円~30万円以上
※遺品整理業者や不用品回収業者に依頼すると、部屋の広さ・物の量・階数などによって変動します。
■注意点
-
賃貸の場合は「原状回復義務」の範囲に含まれることが多いですが、過剰な請求がされるケースもあるので注意(国交省のガイドラインも参考になります)
-
売買の場合で残置物が残っているまま引き渡しを受けると、その後の処分費用は買主が負担になる可能性あり(契約で明記するのが大事)
-
トラブル防止には事前確認が必須!
■契約書で明確にするのがポイント
「残置物は売主が撤去し、空の状態で引き渡すこと」
または
「現状有姿(げんじょうゆうし)で引き渡すため、残置物の処分は買主が行う」
などと明記しておけば、後のトラブルを防げます。
■もしすでに残置物がある状態で困っているなら…
-
写真を撮って記録を残す
-
契約書の記載内容を確認
-
貸主・売主・不動産会社にすぐ連絡
-
必要なら自治体の粗大ごみサービスや不用品回収業者に相談
道路幅員
「道路の幅員(ふくいん)」についてご説明します。これは土地や建物に関する手続き、不動産購入、建築許可などに深く関わるとても重要なポイントです
■幅員(ふくいん)とは?
「道路の幅のこと(=道幅)」です
正確には、道路の両端(境界線)間の水平距離のことを指します
■幅員の測り方
- 一般的には道路の境界線から反対側の境界線までの直線距離
- 歩道や側溝も含むのが基本(ただし例外あり)
◆たとえば…
歩道+車道+側溝の幅を合計して「幅員6m」と表すことが多いです
■なぜ幅員が重要なの?
主に以下の理由があります
建築基準法 建物を建てるためには「幅員4m以上の道路に2m以上接道」が原則(接道義務)
再建築の可否 幅員が足りないと、「再建築不可」になる土地もある
セットバック 幅員が4m未満の道路では、道路中心線から2mの位置まで土地を後退
(=セットバック)して建築しないといけない
防災・避難 幅員が狭いと、消防車や救急車が入れない危険もある
■幅員の基準と種類(建築基準法)
一般の公道(42条1項1号など) 幅員4m以上が原則
位置指定道路(42条1項5号) 幅員4m以上で、建築許可を受けた道路
既存道路(42条2項=2項道路) 幅員が4m未満でも、昔から使われている道路
(ただしセットバック要件あり)
■セットバックとは?
道路の幅員が4m未満の道路に接する敷地に建物を建てる場合、道路の中心線から2mの位置まで後退して建築する必要があります。
その後退部分は「道路としてみなされる」ため、建築や塀の設置はできません
■幅員を確認するには?
- 役所(市区町村の建築課や道路課)で確認可能
- 道路台帳や建築計画概要書でチェック
- 土地家屋調査士や不動産会社に依頼するのも安心
■注意点
- 登記簿には幅員は記載されていないため、現地調査や公的な資料での確認が必要です
- 古い住宅街では幅員が狭く、セットバックが必要なケースが多い
- 建築不可の土地もあるため、土地購入前には必ず確認!
地域包括支援センター
■ 地域包括支援センターとは?
◆ 概要
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように支援する公的機関です。各市区町村が設置し、社会福祉法人や医療法人などが受託して運営していることが多いです。
■対象者
- 主に65歳以上の高齢者
- そのご家族や介護者
- 近隣住民、地域の関係者など
✅ 主な役割・業務内容(大きく分けて4つ)
① 総合相談・支援
介護、福祉、医療、生活全般の悩みごとに対応。どんな相談でもOK
② 権利擁護
高齢者虐待、悪徳商法の被害防止、成年後見制度の案内など
③ 介護予防ケアマネジメント
要支援1・2の方に対して、介護予防プランを作成・支援
④ 地域づくり
高齢者が地域で孤立しないよう、見守りネットワークやボランティア活動の支援
■ 配置されている専門職
- 保健師・看護師:健康や医療の相談に対応
- 社会福祉士:福祉サービスや人権擁護の支援
- 主任ケアマネジャー:介護予防やケアプラン作成の専門家
この3職種が連携してチームで支援してくれます。
■ どこにあるの?
市区町村ごとに設置されており、地域を分担して担当。
「〇〇市 第3地域包括支援センター」のような名前で呼ばれています。
◆例:東京都世田谷区には25か所以上の包括支援センターがあります。
■利用方法
- 相談は無料
- 電話・窓口・訪問など柔軟に対応
- 予約不要のところも多いですが、事前連絡がスムーズです
■ よくある相談内容
- 一人暮らしの親が心配…
- 介護保険の申請ってどうやるの?
- 認知症かもしれないけど、どこに相談すればいい?
- ご近所の高齢者が心配…
- 介護疲れでつらい…
こんなとき、地域包括支援センターに相談すればOKです!
■まとめ
地域包括支援センターは、高齢者とその家族にとっての「地域の安心窓口」です。
介護が必要になる前から、気軽に相談できる存在として、ぜひ覚えておきましょう。
◆お近くのセンターを探すには、「〇〇市 地域包括支援センター」で検索してみてください。市役所の公式HPにも必ず情報があります。
参考:厚生労働省「地域包括支援センターについて」
登録免許税
「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」とは、登記や登録を行う際に課される国税の一つで、主に不動産の登記や会社の設立・変更などの登記をする際に必要になります
■ 登録免許税の概要
項 目 内 容
税の種類 国税(申告納税方式ではなく、登記時に自動的に課される)
管 轄 法務局などの登記機関での手続き時に納付
納付方法 登記申請時に収入印紙などで納付
課税対象 不動産登記、法人登記、船舶・航空機の登録不など
■ 具体的な例(主なもの)
登録内容 税 率(原則) 備考
不動産の所有権移転登記 固定資産評価額の2.0% 相続:0.4% 贈与:2.0%
会社設立(株式会社) 資本金の0.7%(最低15万円) 合同会社は6万円(定額)
不動産の抵当権設定登記 債権金額の0.4% 住宅ローンなど
※上記税率は法改正により変更される場合があります
■ 減税・免税措置
住宅取得時や特定の条件を満たす場合、軽減税率や非課税措置が適用されることもあります。
【例】
- 新築住宅の所有権保存登記 → 0.15%(軽減措置あり)
- 特定の法人設立支援制度を利用した場合の登録免許税の減免 など
ご自身のケースに当てはめた試算もできますので、気になる場合は具体的な内容を教えてください。
参考:国税庁 登録免許税の概要
譲渡所得に関わる購入時建物減価償却
2025/3/20作成
譲渡所得(たとえば不動産を売却したときの利益)を計算する際、建物の取得費は「減価償却後の価額」を用いる必要があります。つまり、売却するまでに行った減価償却費は、取得費から差し引くということです。
■ 譲渡所得の計算式(基本)
譲渡所得=譲渡価額(売却額)−(取得費+譲渡費用)譲渡所得
◆「取得費」には要注意!
建物の場合、取得費=建物の取得価格 − 減価償却費の合計 です。
■ 建物の減価償却費(譲渡所得用)の計算方法
✅ 基本の計算式
減価償却費=取得価額×償却率×経過年数(1年未満切上げ)
※ここでいう「償却率」は、所得税法上の定額法の償却率を使用します(税法で定められた耐用年数に基づく)
■ 計算例
<例>木造住宅(住宅用)
取得価額 1,000万円、所有期間 8年、償却率 0.031(=耐用年数22年)
減価償却費=1,000万円×0.031×8年=248万円減価償却費
取得費=1,000万円−248万円=752万円(←これを譲渡所得の計算に使う)
■よくある注意点
ポイント | 説明 |
---|---|
減価償却は「していなくても計算される」 | 実際に経費計上していなくても、自動的に減価償却されたものとみなされます(みなし償却) |
土地部分は減価償却しない | 取得費を土地と建物に按分する必要があります |
相続・贈与で取得した場合 | 前所有者の取得価額・取得時期を引き継ぐケースが多いです |
■ 土地と建物の按分方法(参考)
不動産の売買契約書に土地・建物の内訳が書かれていれば、それに従って按分します。なければ、固定資産税評価額などを元に按分します。
より正確な試算が必要であれば、以下の情報があると計算がしやすいです:
- 建物の取得年月・価格
- 建物の構造(木造・RCなど)
- 売却時期
- 土地と建物の割合(または固定資産税評価額)
相続税の基礎控除、配偶者特別控除
相続税の「基礎控除」と「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」について、ご説明します。
■相続税の基礎控除とは?
相続税には「基礎控除」という制度があり、相続財産がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。
■基礎控除の計算式
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
<例>
法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合
3,000万円 +(600万円 × 3)= 4,800万円
→ 4,800万円までの遺産には相続税はかかりません。
■配偶者の税額軽減(配偶者控除)とは?
配偶者が相続する場合、特別に大きな控除(非課税枠)があります。これを「配偶者の税額軽減」といいます。
■非課税限度額
配偶者が相続する財産については、以下のどちらか大きい方まで非課税になります。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分までの金額
つまり、配偶者が多くの財産を相続しても、一定の範囲なら相続税がかからないという制度です。
■例
配偶者と子ども1人が相続人 → 配偶者の法定相続分は 1/2
遺産が3億円の場合 → 配偶者が1億5,000万円を相続 → 非課税(法定相続分以下)
■注意点
- 配偶者控除を受けるには相続税の申告が必要です(ゼロでも申告しないと控除は適用されません)。
- 配偶者控除があるとはいえ、将来的な二次相続(たとえば配偶者が亡くなった後の相続)を考慮することも大切です。
国税庁
「NO4158 配偶者の税額の軽減」 ご参照ください。
準確定申告
「準確定申告」について、ご説明します。
■準確定申告とは?
「準確定申告(じゅんかくていしんこく)」とは、亡くなった人(被相続人)が生きていた期間の所得について行う確定申告のことです。
通常の確定申告は本人が行いますが、亡くなった場合には、相続人が代わりに行う必要があります。これが「準確定申告」です。
■なぜ必要なの?
亡くなった方が、亡くなる年の1月1日から死亡日までに得た収入(給与所得・年金・事業所得など)があった場合、それに対する所得税や住民税を正しく申告・納税する必要があります。
■誰がやるの?
準確定申告は、相続人全員の連名で行います。
ただし、相続人のうちの1人が代表して提出することも可能です。
■提出期限は?
被相続人が亡くなった日から 4か月以内 に、税務署に提出しなければなりません。
例:4月15日に亡くなった場合 → 8月15日が提出期限
■提出先は?
被相続人の住所地を管轄する税務署です。
■必要な書類:
- 準確定申告書(確定申告書の様式を使用)
- 被相続人の源泉徴収票や医療費控除の明細など
- 相続人の署名または「付表(相続人の一覧)」の提出
■申告が必要なケース例:
- 亡くなった方が給与所得者で、年末調整されていない
- 年金収入が400万円を超えていた
- 医療費控除や雑損控除を受ける予定だった
- 不動産や株の譲渡益があった
■注意点
- 準確定申告によって還付金が出る場合もあります。過払いの税金は、相続人が受け取れます。
- 準確定申告とは別に、相続税の申告・納付(原則として死亡後10か月以内)も必要です。